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序 章
「治極まれば乱を生じ、乱極まるとき治に入る」という。

時は後漢末期、二百年続いた平和な世もついに乱れるときがきたのである。
大賢良師・張角の率いる黄巾賊が各地で叛乱を起こし人々の苦しむ声が世に満ち溢れたが、
時の後漢王朝には黄巾賊の叛乱を鎮めることはできなかった。
しかしこのとき乱れた世を正し、漢王朝の復興を志した三人の男たちがいた。

三人の名は、中山靖王・劉勝の子孫、劉備玄徳。
文武共に優れた髭の勇将、美髭公・関羽雲長。兵一万に匹敵すると言う猛将、張飛翼徳。
「生まれし月日は異なれど、願わくば同年同月同日に死なん。」
桃園で義兄弟の契りを結んだ三人は、義勇軍を募り黄巾賊の討伐に向かったのであった。

そして同じく黄巾賊の討伐に乗り出した曹操らと協力して
数々の激しい戦いの末、ついに首領・張角を討ち取った。
黄巾賊は滅ぼしたものの乱世が終わったわけではなかった。

黄巾賊の討伐には兵を出さず力を溜めていた西涼太守・董卓が、
帝の後ろ盾となって洛陽に入り己の欲望のままに権力を振り回し悪政の限りを尽くしだした。
これを知った劉備らはまたも正義のために兵を挙げ、ついに董卓をも討ち滅ぼした。
こうして世の中に平和が戻ったかにみえた。

しかし、乱世はまだ始まったばかりであった。
かつて劉備軍と共に黄巾賊の討伐に身を起こした曹操は
世の乱れに乗じて着実に力をつけ天下統一の野望を抱き、
そして准南の袁術は漢王朝を差し置いて自ら帝を名乗ったのである。
まだ、まだ、乱世は続く